世界を敵にまわしても
「……疲れた」
「あはは! ゲーセンって意外に体力使うもんなー」
ていうか、晴のゲームのチョイスが優しくなかったよね。
昼の3時半頃、あたしと晴はファーストフード店で軽い食事をとっていた。
「次どこ行く?」
「んー……2択で出して」
「じゃーあー……映画を観る、CDショップに行く」
「あ、CD見に行きたい」
「んじゃ決定ー!」
その後は何のCDを聴くだとか、学校の話をしたり、晴のバンドの話をするあたし達。
見えてくるのはやっぱり晴の友達の多さだったり、人気者の割にはイジられキャラだったり。
宮本晴という1人の男の子と過ごす今日は、きっと最後まで楽しめると思った。
「つーか美月って、細身のデニム似合うよなー」
CDショップを出ると、晴がマジマジとあたしの私服を観るから恥ずかしくなる。
「でも大人っぽ過ぎると思うよ俺は」
「そんなこと言われても」
どうしようもないっていうか。嬉しいけどさ。
「あー、何か腹減ったなー」
「さっき食べたばっかじゃん!」
アーケードを歩いていると、チラホラとある飲食店を晴が吟味し始めるから、あたしは声を出して笑ってしまった。