世界を敵にまわしても
その後も雑貨屋さんや服屋を見て回り、気付いた頃にはもう空は暗くなっていた。
「まだ時間平気?」
百貨店を出ると晴が携帯画面を見ながら言って、あたしは頷く。
「うん、大丈夫」
デートをしたいって晴が言った時、とことん付き合おうと決めていたからまだ全然大丈夫だ。
「じゃあさ、ショットバー行かない?」
腕時計に視線を落としていたあたしは、時刻が7時を回ったところだと気付いて、勢い良く晴を見上げた。
「お酒!? ダメだよ何言ってんの!」
「ちーがうよ! 俺の両親とこ行こうって言ってんの!」
「……は? ショットバーやってるの?」
晴は「こっちこっち」と道を誘導しながら、あたしに説明を始める。
「今日ショットバーでミニ演奏会してて」
あぁ……そういうことか。ミニって何か可愛いし、行きたいな。
「そんで……実は俺んちって結構オープンでさ、色んな話すんだよね」
そうなんだ。と言えなかったのは、頭にひとつの考えが浮かんだのと同時に、晴がチラッと申し訳なさそうにあたしを見たから。
「……察してる通りだと思うんだけど……まぁ、俺が美月のこと好きなの知ってて、見たいだの連れてこいだの、うるさくて、さ……」
「今日の目的それ!?」
「わー! ゴメン! まじゴメン! でもフラれたって話してあるから!」
逆にもっと気まずいんですけど!