世界を敵にまわしても


「晴が友達多い理由、分かった気がする」

「いや俺はほら、騒がしいの好きだから」


それでもやっぱり、中学からの晴のイメージは人気者だ。きっとあたしだけじゃなく、みんなそうだと思う。


「あ―――! 居たハルッ! お前どこほっつき歩いてんだよ!」

「げ、やべ」


見ると、部活仲間だろう。階段から1人の男子が降りてきたところだった。


……あれ?

軽音部の部室って、1階じゃないの?


「じゃあ俺行くわ。気ぃ付けて帰ってねっ」

「あ、うん」


背中を向けた晴を見て、あたしも足を進めた時だった。

「あのさっ」と、晴の声に呼び止められる。


「高城も呼び捨てしてくれたし、俺も美月って呼ぶことにする!」

「……」

「そんだけっ」


本当にそれだけ言って、晴は部活仲間に「ワリーッ」と駆け寄って行った。


……や、別に呼び方なんて何でもいいんだけど。面食らってしまった。


ポリポリと首の後ろを掻いてから、あたしはローファーに履き替え昇降口を出た。


校庭で活動する野球部やハンドボール部の部員たちが、夕焼けと同じ色に染まっている。



……何か今日は、変な日だったな。
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