世界を敵にまわしても
――先生。
頑張ったなって、言われたよ。
先生と同じで子供扱いしてきたけど、嬉しかった。
高校生にもなって親に頭を撫でられるとは思わなかったけど、本当に嬉しかった。
あたしは家族のこと一言も言ってないのに。
先生は気付いて、わざわざ成績表まで持って来てくれたの?
いつ気付いたの?
それとも何も知らずに来たの?
普段通りでも、別に真面目に見えるのに。
何でわざわざ好青年っぽくしてきたのか知りたい。
担任でもない上に臨時なのに。
何でここまでしてくれたのか、聞きたい。
『知りたいからかな』
『俺はね、高城の素がもっと見たいんだと思う』
――ねぇ、先生。
もしその言葉が本当なら、あたしも同じだよ。
知りたい。先生のことを。
見たい。誰も知らない顔を。
いい先生のフリして、有無を言わせないような言葉。
やっぱり少し意地悪いと思うけど、あたしにはとても温かく感じた。
先生の笑顔を思い出すと意味もなく泣きたくなったり、胸が締め付けられるのは、何でだろうね……。
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