世界を敵にまわしても
「朝と放課後しか来ないから、他のことは宮本に任せるね」
「ちょ、何で!? 他のことって何!?」
「あはは! 晴ドンマーイ」
普段より何倍も明るい朝のホームルームを、先生は時折生徒の言葉に返事をしながら、連絡事をして終えた。
「じゃあ、今日も1日も元気に過ごすように」
出席簿を持って教室を出ようとする先生に、あたしが腰を上げかけた時。
いつもは晴の周りに集まるAランクの女子が先生を呼び止めた。
「ねーっ担任いつまで休みなのー?」
「風邪? 病気?」
足を止めた先生は振り返って、既に複数の女子に囲まれている。
「うーん。持病の悪化だとかで、今日病院に行ってその結果次第だって」
「やべー! 担任入院しろっ」
「そんな事言うと自分が入院するよ」
「えー何で! コワッ」
「ハハッ」と笑顔を見せる先生から、あたしは視線を逸らした。
……忘れてたわけじゃないけど、思い出した。
先生はみんなの人気者で、あたしは……アレだ。どれだ。
あたしはちょっと放課後関わるようになっただけで、他の生徒に比べたら共有した時間なんてごく僅か。
今先生の周りに居る子たちは、きっと1年生の時から先生と関わっているんだろう。
「ヤッダ先生、馬鹿じゃないの~?」
きゃはは……という高い声に、チクリと胸が痛んだ。