世界を敵にまわしても


「もうフリ―じゃなくていいの?」

「あのねぇ美月、フリー楽しめるのなんて別れてせいぜい1ヵ月が限界だよ」


付き合ったことないから分かんないけど。


そう言わないように千切った菓子パンを口に含むと、代わりにユイが頷く。


「あたしも欲しいけどさー、出逢いなくない?」

「紹介でいい男回ってくるほど世の中甘くないしね」

「あははっ! 分かる~」


分かんなくてしんどい。

出逢いって何だ、自然なものじゃなくて自分で作るもんなの?


「つか前に紹介してもらった男がさー……」

「ぎゃー! マジでっ!」

「え~、でもそれってさぁ~……」


顔がタイプじゃないとか、メール内容がキモイとか、お金持ってないとか、しつこいとか。だったら関わらなければいいのに。


あたしには到底理解できないような、興味も持てない話題が次々目の前を飛んでいき、あたしは黙々とパンを口に入れた。



「ぎゃははは! 晴バッカじゃねぇのー!」

「バカじゃねぇよ! とっさにこう、分かる!?」

「わっかんね! もっかい再現して!」


昼休みも半分過ぎた頃、晴たちが教室に戻ってくるとサトミがいち早く口を開く。


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