世界を敵にまわしても


「今は部活中じゃなくて、授業中だろ」

「だってギター見るとさぁ、つい弾きたくなる……あ、今度ライブするから! みんな宜しく~!」

「え! 晴ライブすんの!?」


ワッと宮本くんの周りに人が集まり、その一角だけ温度が違うみたいに沸き立つ。


学年問わず知り合いが多く、クラスでも人気者の宮本くんは、朝霧先生と人気を二分する存在。


彼もまた、あたしの苦手な話題をいつも連れて来る1人。


「あーもー、そういう話は休み時間にしなさい」

「何だよー! 朝霧っちだって来たいだろ?」

「その呼び方はやめてくれ……」

「あはは! 先生困ってんじゃん晴~!」

「俺らもそう呼ぼっかなー!」


男子と女子が入り乱れて、主に宮本くんと朝霧先生の会話に茶々を入れる。


「可愛い~」
「目の保養だよね」


そこには混ざらず、遠目から見ていた女子達の会話が耳に届いた。


――そう、あの2人は個別でも人気があるけど、セットだと更に人気があるらしい。


パッと見だけでも身長の差が結構あるし、尚且つ顔を構成するパーツも大分違うだろう。


朝霧先生が綺麗系というなら、宮本くんは可愛い系。動物に例えるなら猫と犬だ。


……そういえばもう1人、うちのクラスには“別の種類”がいたな。
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