世界を敵にまわしても
「晴みたいな男がゴロゴロいればいいと思わない?」
「まぁ面白いしカッコイイし、同クラだと得だよね~」
ユイは「目の保養」と付け足すと、ミキが意地悪な笑顔を見せた。
「あれで朝霧先生くらい身長あればねぇ~」
「はぁ? ちょっと小柄なのが逆にいいじゃんっ」
「「あー確かにー」」
……やっぱりモテモテだな、晴。
食べ終わったパンの包みを細くして結んでいると、ユイの「あ」という声に顔を上げる。
「何してんのアンタ等ー」
「晴ー! 今日カラオケ行こうよ~」
……取り巻きと言えばいいのかな。
いい男に目のない、クラスで1番派手なAランクの女子が晴達のグループに混ざった。
「いいよねー、ああやって直ぐ入り込めてさ」
「ウチ等が勝手に近付こうもんなら睨まれるよね」
先程よりも小さな声で話すサトミとユイは、残念ながらBランク。
派手派手なAランクとは極力関わりたくないんだろう。というより、関われるはずがない。
ランクやグループが違っても話す事は出来るけど、決して交わることはないんだ。
ランク移動と同じ。余程の事がないと自分のステータスは変えられない。
目に見えない区切られたボーダーラインが、必ずあるのだから。