おい、早く起きろ【花集】
約束の時間を30分過ぎても景子は僕の前に現れることはなかった。
「遅いな景子の奴。すっかり日も暮れちゃったな。あと30分もしたら花火の打ち上げ始まっちゃうのに」
ただこれは予想の範疇だった。
景子とは幼馴染なのでよく知っているが、彼女はひどい遅刻魔だ。
寝るのが好きな彼女は暇さえあれば、眠っている。
今日もおおかた、デート前に少し時間が余ったので、昼寝をして寝すぎてしまい、寝坊と言ったところだろう。
「まっ。気長に待ちますか」
僕はそう自分に言い聞かせて、星降る夜空を眺めていた。