侍は生きている
「俺は、俺だけが助かるほうがいい」
えっ…?
なにコイツ…
「俺だけが助かるんだ…」
コイツ…
「俺だけが助かり、俺がこの国を支配する!」
救いよう…ねぇかもな…。
「……」
俺は夢中で話す新見の背後により
背中に『雪桜』の刃をあてた。
「もう、黙れ…新見」
「高杉?」
「俺だって…俺だって生きたいんだ…」
そう思うと…
俺の目からは涙が流れてた…。
「みんな、生きたいんだよ…」
「……」
「なのに…お前は…そんな人たちの命をムダにした!」
「高杉…?」
「俺の思いも踏みにじった…」
「はっ!それがどうした!俺は俺だけが生きる世界を…」
「殺す…」
「えっ?」
「お前を殺す」
もちろん、そのとき俺が本当にそう思ってたわけじゃない。
そう言わねぇと、コイツは止まらなかった。