[短]ハロウィンの夜に


「なにより、あのジンクスがいいよね~!もし、好きな人が王子だったら結ばれるってやつ!」


ま、逆もだけどね。
しかし、今までそんな奇跡が起きたのは15年前と9年前の二回だけ。


「そんな奇跡、ある訳無いじゃん…。」


相手は直前にならないとわからない。
くじは、男女別室で行われるから。

このくじは絶対に変えられない。もし、くじを変えてもクジを引いてすぐに一人一人何に仮装するか、教師にメモされているからばれてしまう。

私には好きな人がいる。青山拓兎。野球部でまあまあかっこいい。

いつも明るくて、でも優しくて、一緒にいてすごく楽しい拓兎がいつの間にか好きになっていた。


「じゃあくじも引いたし、着替えた後、レッスンに入りましょう」


私は、衣装が複雑過ぎて一人で着替えることが出来ないため、早く着替えた子に手伝って貰った。

社交ダンスの最終練習も終え、それぞれ髪を整えたりメイクしたりした。

私はなぜか特別にお姉さんが美容師のクラスメートがいたので、来てくれたお姉さんにセットしてもらった。


「可愛い!」


皆が褒めてくれて少し恥ずかしかった。

こうなったら奇跡を信じるしかない。魔界の王子が拓兎でありますように………





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