[短]ハロウィンの夜に
「本当なら違う人なんだけど…体調不良になっちゃって…」
「あ、そうなんだ」
この男子は見覚えがない。
他学年だろうか。
「そろそろ時間です。王子、姫をエスコートしてくださいね」
「はい」
王子は私の手をとり、エスコートの準備をした。
もうすぐ始まる…
王子は拓兎じゃなかったけど、拓兎とも後で踊ることはできる。
今は皆の前でこけないように…
「では、開けますね」
生徒会役員が扉を開けようとしたとき――――
「ちょっと待ってください!」
後ろから大きな声で誰かが叫んだ。
誰か…??ううん…あの声は―――――――
「た、体調が戻ったので…王子をやらせてくださいっ………すぐに着替えます!
ほら、來馬の衣装も持ってきた…」
拓兎だ…………
一度…諦めた奇跡が…今、現実になった!
生徒会役員は携帯を取り出し、誰かに携帯をかけだした。
「5分。二人とも5分で着替えてきて下さい。」
「「はい!」」
私は、もう顔がにやけてしょうがなかった。
ヤバい…ヤバい…こんなことって…!
きっと今の私のオーラを例えるならピンク以外に考えられない。