CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
4. KYU & Sora
ジョージさんの恋愛話は、ここでいったん置いといて、僕の片想いから始まった恋愛話も聞いて欲しいんだ。
その時僕は、1年飛び級で高校3年生の17才。
友達4人でバンドを組んでる。
バンド名は
《Fickle》
(気まぐれ)って言う意味なんだよ。
と言うのも、僕達の音楽にはジャンルが無くて、気分によってやる曲のジャンルが変わるからなんだ。
その年のクリスマスイヴの夜、僕の人生が変わってしまったんだ。
僕達は、ホンデ(弘大)に来ていた。
ホンデとは、ソウル市の麻浦区(マポグ)西橋洞(ソギョドン)に在る、芸術系で有名な「弘益大学校(ホンイクテハッキョ)」周辺の事なんだ。
このエリアには、沢山のライブハウスが在るんだ。
その中でも老舗のライブハウス《FreeBird》が移転、改名した《FB CLUB》に向かっていた。
今日はこのFB CLUBでクリスマスライブがあるんだ。
2ヶ月前にエントリーしておいた。
1バンド3曲を演奏するんだ。
僕達は、ロックを2曲とバラードを1曲演奏するんだ。
通常ライブハウスと言えば、ほとんど地下にあるのに、ここFB CLUBは2階に在るんだ。
木製の階段を上ると黒い扉がある。
入口を入るとすぐジミヘンのポスターが貼ってある。
一番奥にステージがあり、客席には木でできた丸テーブルの周りには赤い丸椅子がフロア全体に置かれている。
僕達は、中に入ってマネージャーのキム・バードさんに挨拶して受付を済ませ、控室に入って行った。
通常、1日に4バンドの演奏があるんだけど、今日のクリスマスイベントには、その倍の8バンドがエントリーされている。
18時から開店して、20時から演奏が始まった。
1バンドの持ち時間は20分。
10分の間を空けて、次のバンドの演奏が始まる。
4バンドが終われば、1時間のマッタリタイムがあり、23時からまた演奏が始まる。
予定は、だいたい深夜0時に終了すると言うが、いつもまともに時間通りに進んだ事は無いんだ。
僕達の出番は23時からになっていた。
それまでは、控室でかるくあわせてみたり、他のバンドの演奏を聴いて時間を過ごした。
ホールは観客で満員になっていた。
あまりの多さに、ちょっとビビったが、頑張って演奏するぞ。