CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
僕は、毎晩毎晩父さんに頼んだが、父さんは分かってくれなかった。
すっかり諦めてしまった僕は、白紙の契約書を携えて新星MUSICへと向かった。
~♪~♪~♪~♪~
今僕は、社長室の中に居る。
入って最初に目についたのは、巨大なパネルに入り、ライトアップされた2人の男女の写真であった。
『凄く大きな写真ですね。
こちらのタレントさんですか!?』
「ハハハ!違うよ。
これは、日本に住んでいる俺の子供達だよ。バンドやっててね、この前のクリスマスイヴにやったライブん時の写真を引き延ばしたのさ。
息子が長寿(チャンス)と言って、娘が空(ハヌル)って言うんだ。」
『そうなんですか。とっても素敵なお子さん達ですね!』
「ありがとう!
ところで、契約書にはサイン貰えたのかい!?」
『母と姉は応援してくれると言ってるのですが、父が反対してて‥‥‥‥
父がサインしないと母もサイン出来ないって言うんです。』
「だったら諦めるのかい!?」
と言われたが、僕の心は違う事を考えていた。
今僕の目の前にあるパネルに写し出されている可愛い少女、
部屋に入った瞬間
一目惚れしちゃった
社長さんの娘!
名前はハヌルって言ってた…
会ってみたいなぁ!
その為には、絶対父さんを説得して、ここの事務所に入って日本でデビューしなくっちゃ。
僕は、社長さんの目をしっかりと見つめて、
『父は説得して見せます。
だから、もう暫く待ってて下さい。
今日は、それをお願いに参りました。』
「分かった。
こっちの心配はしなくて良いから、ちゃんと両親を納得させてから、ここに来なさい。
良いね!?」
『はい。
僕の人生が掛かっています。
必ずサインして貰って来ます。』
と意気込み、事務所を後にした。
それが、僕が初めてハヌルの存在を知った日である。
とにかく、僕が日本に行かなきゃ会えないんだから、頑張って説得するしかなさそうだ。
その時は、まさか日本でハヌルと一緒に同居出来るとは思って無かったから、ただただ会いたい一心で父さんを説得した。
約束もした。
高校は後少しだから必ず卒業して、3年間頑張っても目が出なかったら、韓国に戻って軍隊に入る。
危険な物には絶対に手を出さない。
年に最低でも1回は里帰りする。