CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
「それじゃあ、全員揃った事だし、今週のスケジュールを渡すから。」
そうです。
ここのアナウンス部は、毎週月曜日に一週間分のスケジュールを渡されるんです。
突発的な仕事が入らない限り、そのスケジュールが仕事の全てになるんだって。
報道関係の仕事は、殆ど入らないんだけど、音楽番組とバラエティー、ロケでの情報紹介番組がメインです。
たまに、海外アーティストへのインタビューが有るそうですが、ある程度英語が喋れないと、インタビュアには指名されない。
そうそう、ウチじゃなくって私、しゃべり方を直すように、部長から命令されました。
ロッカー杏奈の顔を出来るだけ抑えて、小柳アナとして頑張らないと!
『エッ?私にも、もうスケジュール入っているのですか?
研修とかして、
《アメンボ赤いなアイウエオ》
とか、
《瓜売りが瓜売りにきて‥‥》
とかやったり、原稿読みの練習したりしないんですか?』
「アンナちゃん、そんなのは局アナに任せとけば良いんだよ。
それに、アンナちゃんは、もうすでに2年間アナウンサーとしてやって来たじゃないか!
即戦力になってもらわないと。
それでなくても、今年のアナウンサーの採用はアンナちゃんだけなんだから。」
『…ハイ…。分かりました。』
と、そこで突然
『やった~!今週の私、バラエティー少しだけだった。』
って喜んでいるのは、3年先輩の木村アナ。
頼れるお姉さんタイプです。
「あぁ、俺の週末がぁ~!」
と、嘆いているのは、4年先輩の高橋アナ。
ちょっとチャラそうな、長身で顔が濃いアニキ風。
『高橋先輩、どうしたんですか?』
って聞いてみたら、
「バラエティーでもさ、お笑い芸人大集合的な番組の収録はな、だいたい夕方位から収録が始まって、終わるのは深夜の27時~28時なんて当たり前なんだぜ。」
『エェ~ッ!
私のスケジュールにも有るのかなぁ!?』
「赤い枠で囲まれているのがそれだから。
ちなみに、青い枠で囲まれているのは音楽番組。
オレンジ色はロケ番組な。
そして、黒色の太字枠で囲まれているのは生放送だから、気を付けてな!」
『私はっと、今日の月曜日は無しと。
それから‥‥‥‥』