CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 


渡された書類を受け取り、


「お疲れ様でした。」


と挨拶をしてから、エレベーターの方へ向かった。




トントン!


『失礼します。』


「はい、どうぞ!」


中に入った私は、


『アナウンス部部長から預かってきました。』


と言って、書類をデスクの上に置いた。


「ご苦労様。

どうだね、もう慣れたかい!?」


『ハイ。

毎日、楽しく仕事させてもらってます。』


「そっかぁ。

今日の生放送でKYUはどうだった!?」


『ハイ。とっても歌が上手ですね。

それに、日本語がペラペラなのには驚きました。』


「まだ、日本語を勉強し始めて8ヶ月くらいなんだよ。」


『エェ~ッ!そうなんですか!?

もう3年くらい日本に住んでいるのかと思いました。』


「これからも、彼と一緒に仕事する時は宜しくお願いな!」


『ハイ。分かりました。』



と、その時、


トントン!


「はい、どうぞ!」


『失礼します。』


と言って入って来たのは……


「おぉ、桧山くん。お疲れさん!

今日の生放送、KYUは緊張して無かったかい!?」


『ハイ。大丈夫そうでした。』


アッ!さっきの人。


桧山さんって言うのかぁ~!


やっぱり新星MUSICの社員だった。


『あの~、先ほどはありがとうございました。』


「アンナちゃん、彼と会ったの!?」


『はい、社長。

放送局の廊下でバッタリと…。』


「そうかぁ。

桧山くんは、彼女の事知ってるよね。」


『はい、存じてます。

小柳アナですよね。』


「わが社期待のアナウンサーなんだよ。

専門学校の時からアルバイトとして、働いてもらってるから、もう7年以上働いてる事になるんだったかな!?」


『ハイ。

18で高校卒業して、専門学校入ってちょっとしてから働いてますので。

あの頃は学生の私にいきなり司会やらしたり、生放送に出したりと無茶苦茶な社長さんだと思いましたけど、今では感謝してます。』


「だろう!

これからも、しっかり頑張ってくれよ!」

『ハイ。』


そして、お辞儀をして、社長室を後にした。



あぁ、ドキドキしたよ~!


なんでいきなり入って来るかなぁ。


会えたのは嬉しいけど、心臓に悪いよ!


それにしても彼、私の事知ってるんだ!
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