CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
まだ決まって無かった司会の座、社長さんに拝み倒して、腕にしがみついて、どうにかGETしました。
やったね!
喜び勇んで帰ろうと、ギターを更衣室に持って行かず、メンテナンスに出すため、肩に担いで1階に降りた。
すると、いきなり後ろから、
「小柳アナ、ギターやるんだ。」
振り返ると、そこには桧山さんが立っていた。
私は、
『少したしなむ程度に!』
とだけ言って、再び前を向いて歩き出した。
「ちょっと待てよ!
そんなんじゃ、落ち着いて話も出来ないじゃないか。」
『別に話すこと無いから。』
「何カリカリしてんの?」
『別に!』
「俺、お前に何かしたか?」
『年下から《お前》呼ばわりされる、いわれは無いから。』
「すまない。
小柳アナ、俺の事避けてるの!?
ミュージック フェスティバルでも、先に帰っちゃったし。」
『別に!
たまたま、あの後用事が合っただけだから。
それじゃあ、お疲れ様!』
「チョッ…ちょっと!」
『まだ何かよう?』
と、そこにチャンス君がやって来た。
『チャンス君、どこ行くの?』
「杏奈さん、まだ居たんですか。
これから飯食いに行くんですよ。」
『私も一緒に行って良いかなぁ!?』
「良いですよ。
桧山さんはどうします?」
『俺は、これからKYUの取材が入っているから無理だな。』
「そうですか。
それじゃあ、お疲れ様です!
じゃあ、杏奈さん、行きましょうか。」
『行こ!行こ!』
~♪~♪~♪~♪~
ダメだ!
ムカついてきた。
あんなふうに言われたら、まともな話なんか出来ないじゃないか!
チャンスと一緒に飯食いに行ったし…
俺、絶対にアイツに惚れてるんだ!
何か、胸の当たりがチクチクするし…。
一緒に飯食いに行きたかった……。
~♪~♪~♪~♪~
「杏奈さん、良いんですか?」
『何が?』
「桧山さん、何か話が合ったんだよ。」
『関係無いわ。
奴は、私を小馬鹿にして笑ったのよ。』
「それって、何かの勘違いじゃないんですか!?」
『間違い無いわよ。』
「そっかなぁ!?
桧山さんって、杏奈さんの事が好きなんじゃないですか!?」
『ハハハ!
まっさか~!』