CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
1. A Three Legged Race
9月に入ったある日、俺はアボジ(親父)に呼び出されて、新宿にある新星MUSIC日本支社に来ていた。
「アボジ、何か用事ですか?」
『オゥ、チャンス!
実はな、以前にも言ったと思うけど、俺の作った《約束》って曲を、お前が日本語で歌詞を書いただろ!
あの曲な、今度KYUの新曲として出そうと思うんだ。
それで、お願いが有るんだけど、あの曲をお前にアレンジして貰いたいんだ。』
「俺がですか?」
『あぁ!
一応、こちらの要望は、今までキーボードは堅い音を出してただろ!
あれをグランドピアノに変えて欲しい。
それから、少し今風に変えてくれ。
あれを作ったのは、もう20年以上も前の話だからな!』
「わかりました。
とりあえず、期限はいつまでですか?」
『早ければ早いほど良いんだが、1週間以内に出来るか!?』
「頑張ってみます。」
『レコーディングは、グランドピアノの置いてある第1-NSスタジオ(原宿スタジオ)でやるから。』
「もしかして、やっぱり本堂さんがやるんですか!?」
『ハハハ!
チャンスは、本堂さんが苦手みたいだなぁ。』
「だって、あの人は妥協って言葉を知らないんだもの。」
『まぁ、レコーディングは本堂ちゃんと、原宿スタジオの店長で、元WILD RIDERSのキーボードをやっていた西条ちゃんの2人で担当してもらうから、頑張ってくれよ!』
エェ~ッ!
西条さんが本堂さんとタッグを組むの!?
2人って、仲が悪かったんじゃないか?
確かに、二人とも音楽センスは最高だし、レコーディングの腕前も、本堂さんにひけをとらないくらい素晴らしい。
でも……大丈夫かなぁ!?
とりあえず、家に帰ってアレンジしてみっか!
その時、携帯がなった。
『チャンス!久しぶり。
今何をしてんの~!
おいらさぁ、退屈で死にそうだにゃ~!』
「ジョージか。久しぶり。
グッド タイミングだな。
退屈で死にそうなら、俺に付き合ってくれよ!
晩飯1週間毎日おごってあげるから。」
『良いよ~ん!
どこにいるのら?』
「今は、新星MUSICにいるんだけど、本郷スタジオに来れるか?」
『ダイジョブだよ~!』