CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
「じゃあ、1時間後に本郷スタジオで。
アッ!それから、来るときに着替え1週間分も、持ってきてな!」
『何か、合宿みたいだね~!
面白そうだから、今すぐ行くよ~!』
「じゃあ、待ってるからな。」
ほぼ同時くらいにスタジオに着いた。
ジョージは、グレイの作務依(サムエ)に雪駄(セッタ)、麦わら帽子にサングラス、首に黄色いタオルをひっかけてやって来た。
彼のファッションセンスに、とやかく言う訳では無いが、ひどい。
音楽センスとファッションセンスは、相容れないものなんだろうか!?
「オッス!
急にすまない。」
『良いよ~ん!
でもさ、ホントに暑いねぇ!
ハロハロが食べたくなっちゃった。』
「ハロハロ!?
それ何?」
『フィリピンのアンミツかき氷だよ~ん!
最近おいらのお気に入り。
今度、作ってあげるよ~ん!
ところで、今日から何すんの?』
「まぁ、とりあえずスタジオの中に入ろうか!
昼飯は食ったか!?」
『まだだよ~ん!』
「じゃあ、先に飯食いに行こうか。」
『冷やし中華食おうぜ!』
と言う事で、俺達はスタジオから道路をはさんで向かいのT大の裏に回った。
その裏路地には、学生食堂が立ち並び、安くてボリューム満点のメニューが豊富に揃っている。
一軒の大衆食堂に入って、俺とジョージは冷やし中華を食べてからスタジオに戻った。
~♪~♪~♪~♪~
『で!?
いったい何をすれば良いんだい!?』
「実は、俺の親父が作った《約束》って歌に、俺が日本語歌詞をつけたろ!
あれをKYUの次のシングルとして出そうって事になったんだ。
それで‥親父から、アレンジしてみろって言われたんだ。」
『そっかぁ。
何だかワクワクするにゃ~!
アレンジの方向性は、何か条件付き?』
「あぁ!
キーボードをグランドピアノに変えて、今風の曲にアレンジして欲しいそうだ。」
『わかったじょ~!
でもさ、今風のアレンジならキーボードでも良いんだと思うんだにゃ。
それを、あえてグランドピアノにするって事は、チャンスの親父さん、きっと何か思惑が有るって事だよ~ん!』
「俺もそう思う。
なんか、試されているみたいなんだ。
だから、マジにスゲー曲にしたいと思うんだ。
手を貸してくれよ!」