CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『了解だよ~!
二人で、凄いの作ろうなぁ。
おいらもアレンジするのって、めっちゃ久し振りだから、頑張るぞ~!』
「まずは、俺の考えてるアレンジの大まかな構想を聞いて欲しいんだ。
もともと、約束って曲は、ミドルテンポだけど、ドラムにパンチを軽く利かせているから、ポップな曲なのに、力強さを感じるだろ!?
今度、グランドピアノを入れて演奏したら、力強さは残ってもポップな感じじゃ無くなるんだよな。
親父が描いている約束は、多分だけど、もっと音に拡がりが欲しいのかもしれないんだ。
その2つの要素を併せて考えてみたら、アップテンポだけど、荘厳な感じの音が必要になるんだよなぁ。
そうすると、クラシックとロックのフュージョン的な音が良いんじゃないかなぁって思うんだ。」
『なるほどにゃ。
でもさ、ちょっと付け足しても良いかなぁ。』
「なんだい?」
『俺もだいたいチャンスの意見と同じ考えなんだけど、クラシックって言っても幅が広すぎるじょ。
後期ロマン派の近代クラシックなんかがアレンジしやすいんだけどなぁ。
イメージ的には、現代クラシックをロック調にして、それを尚且つポップな感じに仕上げる作業がいるかにゃ。
アレンジは大変だけど、その方が、きっと納得のいく曲が仕上がると思うんだなぁ。』
「現代クラシックかぁ!
ちょうどクラシックギターが進化し始めた頃だなぁ。」
『チャンス、良く知ってるねぇ!
アンドレス・セゴビアって人が居たんだけど知ってるかい?』
「イヤ、初めて聞いた名前だけど。」
『彼はねぇ、現代クラシック・ギター奏法の父って呼ばれてたんだけど、彼の弾き方の楽譜や、彼の弾き方を出来る人のDVDが有るけど、後で観てくれよ~!
きっと何かの参考になると思うんだにゃ。』
「ぜひ頼むよ。」
『チャンスはクラシックギターを弾けるのかなぁ~!』
「昔、ちょっとだけやったことがあるけど…。」
『今回、グランドピアノにクラシックギターをかぶせてやってみたいなぁ。』
アウトラインは固まってきた。
後は、今風のアレンジの方向性とテンポ、それに歌い方とリズムの取り方も考えなきゃ。
アレンジって、やらなきゃいけない事が多すぎる。
だが、勉強になる。