CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 


俺達は、昼間は大学に行き、帰宅したらジョージと二人で閉店ギリギリまで、本郷スタジオに入り浸りである。


俺が譜面におこし、ジョージがそれをピアノで弾く作業が4日間続いた。


行き詰まってイライラして、ジョージに八つ当たりをしてしまった。


でも、ジョージは本当に良い奴なんだよ!


ニッコリ笑って、ジョークにしてくれる。


黙って缶のアイスコーヒーを買ってきてくれて、


『ちょっと休憩しよっか!』


って言って休憩室に入った。


『難しいのら~!』


「行き詰まっちゃったな!」


『でもさ、チャンスの頭ん中では、おぼろ気ながらも見えてきてるんだろ!?

後もう一息だから、バシッと決めようなぁ~!』


「そうだな。
バシッと!」


『そう、バシッと!』


そして、6日目の朝、漸く全員のパートの譜面が完成した。


直ぐに皆にファックスで譜面を送って、今日の夕方に本郷スタジオに集合するように段取りしてから、俺とジョージは24時間ぶりの睡眠をとった。


けたたましくアラームが鳴り、俺はベッドから降りて、リビングに行った。


そしたら、ジョージが何かを作っていた。


『オハヨ、チャンス。

朝飯ならぬ、遅い昼飯を作ってあげるじょ~!
シャワー浴びてきたら!?

さっぱりして、目が覚めるじょ~!』


「ありがとう!

それにしても、良く起きれたなぁ!?

眠たくないのか?」


『おいらは、いつも1日4~5時間寝たらダイジョブなんだよ。』


「すごいなぁ。」


『だって、寝ているより起きてる方が楽しいもん!』


そうなんだ…と、感心しながらシャワーを浴びに行った。


スッキリしてリビングに戻ったら、ダイニングテーブルの上には、ママカリの干物を油で素揚げしたものと、ガーリックフライドライスがあった。


「美味しそうだな。」


『このママカリの素揚げはTUYOって言って、こっちのニンニク入りチャーハンはSINANGAGって言うのだよ~ん!』


「どこの料理?」


『フィリピン料理だよ~ん!』


「またフィリピン?

ジョージ最近フィリピンに凝ってるの?」


『そうなんだよ~ん!

おいらの新しい彼女は、日本人とフィリピン人のハーフなんだよ~ん!』


「ジョージ、彼女居たんだ!?」


『今度、紹介するよ~ん!』
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