CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
夕方4時過ぎに、俺とジョージが本郷スタジオに行ったら、ケントもテジュンも来ていた。
「やぁ、早かったな!
ファックスで送った楽譜は受け取った?」
『あぁ!
家で練習してきたぜ。
なかなか渋いアレンジだな。』
「ドラム、あんなに入れてダイジョブなのか?」
『KYUの声量があれば問題無いよ。』
「だよな!」
『テンポが以前より少しだけ遅くしてるけど、ケントのドラムがあれば、中垂れしないと思うんだ。
ベースの間奏部分のスラップは、パンチ効かせてくれよ!
俺がクラシックギターで間奏部分のメロディーラインを弾いて、テジュンのベースが裏打ちでスラップを入れるとこが、演奏者の一番の見せ場になると思うんだ。』
「わかった。」
『ところでKYUは?
まだ来てないの?』
「とっくに来てるよ。
今、5階のスタジオ5で発声練習してるよ。
譜面を見て、ヤバいかもだって!
チャンスのアレンジに着いていくには、今のままじゃ負けちゃうとか言って、オペラ歌手の様な声を出して、練習してたよ。」
『そっかぁ。
それじゃあ、そろそろ俺達もスタジオ5に入ろうか!』
「じゃあ、頑張って最高の音楽を楽しもうぜ。」
『シャ~ッ!』
だからジョージ、最後のシャ~ッ!って何なんだよ。
とにかく、俺達はエレベーターで5階に上がった。
そこには、親父と本堂さんが居た。
KYUは、発声練習を終えて、うがいをしに行っていた。
「おはようございます。今日は宜しくお願いします。」
『オゥ、全員集まったな!
チャンス、お前のアレンジした譜面を見せて貰ったぞ。
なかなかの出来じゃないか!
苦労したろ!?』
「精神的に、追い込まれてました。
途中で、何度もパソコンの中にある、楽曲のアレンジソフトを使ってやろうかと思ってしまいましたよ。」
『ハハハ!
それはひどいな!
あんなソフトはお遊び専用だからな。』
「それくらい行き詰まってました。」
『じゃあ、中に入って音合わせが済んだらニューバージョンの約束を聴かせてくれよ!』
「わかりました。」
中に入った俺達は、音合わせが済んだら、軽く個人練習を10分程した。
『じゃあ、そろそろいってみようか!?』
「わかりました。」
XYZの再始動の時がきた。