CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
《チャンス》
入試も終わったし、後は卒業式までのんびりして、3月入ったら……
やっぱ、もうイッペン韓国行って、向こうの音楽を生で聴きたいな!
ソナ(ミヤビ)の両親の承諾が貰えたら、一緒に連れて行けるんだけどなぁー。
・ ・ ・ ・
なんか忘れてる!?
やっぱ俺なんか忘れてる気が・ ・ ・
アッ・ ・ ・ !
3月1日はソナの誕生日だ!
プレゼント何も買って無ぇ。
やばいって言うか、後2日しか無い。
慌ててチャンスはジャケットを羽織って、1階に降りた。
『チャンス、オディカンダ?(長寿、どこ行くんだい?)』
「オモニ(母さん)ちょっと出てくる。
夕方までには帰って来るから!」
『ソナちゃんとデートかい?』
「そんなんじゃないよ。ちょっと買い物行って来る。」
『ソナちゃんの誕生日プレゼントでも買いに行くんかい?』
スルドイ! 鋭すぎる…………
「……」
『図星かい。情けないねぇ。あんた、いつもギリギリなんだから。』
「ソラにチクるなよ。ソナに筒抜けなんだから。」
『わかったよ!早く行っておいで。』
俺は、急いでスニーカーを履いて、愛用のビッグスクーター《SKY●●●●》に股がり、都道305号線から恵比寿を抜けて明治通りへ向かった。
駅前のパーキングエリアに愛車を止めて、歩いてセンター街へ向かった。
何プレゼントしようかなぁ!?
15才の女の子って、何貰ったら喜ぶんだよ!?
先月チョーカーあげたし、クリスマスプレゼントには、ニット帽と手袋のセットに花束添えてあげただろ。
誕生日プレゼントだから、奮発して指輪でも……
ってサイズわかんねぇし…
そういえば、4月から高校行くんだから、サブバッグなんか良いかもなぁ。
最近の女子高生はほとんど持って歩いてるし……
『高山くん、何してんの?』
「ウォ、いきなり声かけんなよ。
ビックリすんじゃんか!」
振り向いたところには、同級生の薫がいた。
『佐々木、こんなところで何やってんの?』
「それはこっちのセリフ。私は彼氏とデート中。
今は、そこのアクセサリーショップでシルバーの指輪にネーム入れて貰ってる。
何気無く表の通りを眺めてたら高山くんが見えたから声かけたんだよ。」
『そっかぁ。ヒロと一緒か。』