CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



昼過ぎまで、俺達はマッタリとした時間を過ごした。


今日は、夕方5時から、新星MUSICの経営している渋谷のクラブ
《Seoul Night》
で、クリスマスパーティーが行なわれる。


その日だけは、新星MUSICの社員やタレントのみの入場で、いわば忘年会みたいなものである。


参加費用無しで、社員証さえあれば、入れるシステムになっている。


俺達は、そこに向かっていた。


多分、XYZのメンバーも、行くはずである。


ちょうど5時にタクシーはクラブに着いた。


中に入ると、まだほとんど人はおらず、ホールスタッフがバイキングの料理を並べたり、DJが曲を選曲したりしていた。


ソナとテーブルに座ってホットレモンを飲んでいたら、おもむろにDJが俺達の曲、Get a chance,get a rhythmを流した。


この曲を聴きながら、昨日のクリスマスライブを思い出していたら、若いDJがマイクを握り、曲に合わせて歌い始めた。


KYUほどでは無いが、なかなか上手いもんだ。


その後、ハウスミュージックに変わり、ボリュームを少し抑えて、DJボックスから出てきた。


こっちにやって来たDJが、俺達のテーブルに来て、


『やぁ、はじめましてチャンスさん。

DJ-Cです。

俺も、いずれ新星MUSICからデビューしますんで、よろしく先輩。』


「やぁ、はじめまして。

こちらこそよろしくな!


なかなか歌うまいな!

誰かとグループとしてデビューするのかい!?」


『ハイ。

ギター、ボーカル、シンセと俺の4人組のバンドです。

バンド名は
《CALM》って言います。

静けさとか、穏やかなとか、平穏なみたいな意味だそうで、でも、俺達は、
《嵐の前の静けさ》
って言ってます。


ところで、可愛い人ですね!

チャンスさんの彼女さんですか!?

彼女、名前、何て言うの?』


「CALMかぁ。

図々しいって言う意味もあるけど、こっちの方じゃ無いの?

俺の彼女の肩に触るな!」


『怒らないでくださいよ!

スキンシップじゃないですか。

メチャタイプ。


俺と付き合わない?』


「いい加減にしないと、ぶっ飛ばすぜ。」


『有名人が、そんな事したらスキャンダルッスよ、先輩!』


「ブースに戻って、仕事しろや!」



 
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