CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
昭和初期のような外観だが、店内はかなり綺麗である。
外壁には、わざと錆びさせたトタン板を張り付けている。
しかし、内装はちょっぴりレトロ風のファミレスって言う感じだ。
商品ケースには、調理済の料理が並んでいて、お盆に好きな料理を乗せていくのだ。
みそ汁とご飯だけ、その場でよそってくれるんだが、ここのご飯はメチャクチャ美味いのだ。
毎日炊きたてのご飯が食べられるし、おかわり自由なのだ。
東北の農家と直接契約して、発送して貰っていると言っていた。
この9ヶ月近く、週に3回はここで食事しているので、ご主人や亜矢子さんとも仲良くなり、話を聞かされたのだ。
関東地方には、フランチャイズが20店舗ほど在って、今でもフランチャイズに参加したいと、沢山の食堂経営者から申し出が有るそうだ。
だから、ご主人はいつも忙しくて、ここの本店ではなかなか会えないのだ。
そんな事を考えながら、気が付けば皆、食事も終わり、サービスの梅昆布茶を飲んでいる。
「そろそろ行くか!」
『もう少しゆっくりするのら~!
腹一杯だからKYUも歌えないじょ~!
後5分待ってくれ~!
おいらも腹がはち切れるよ~ん!』
「わかった。わかった。
じゃあ、後5分な!
亜矢子さん、俺も梅昆布茶ちょうだい。」
『は~い!
ところで、みなさん最近プロとしてデビューしたんでしょ!?
サイン書いてくれますか!?
お店に飾っておきたいから。』
「良いですよ!」
『ホント!
ありがとうね。
うちの娘がKYUさんの大ファンなのよ。
最近、K-POPにはまって、娘の部屋には●-DRAGONやF(●)やKA●Aのポスターで凄いのよ。
中でもKYUさんのは、CDやDVD、写真集やポスターと全部買ってるんだから。
だから、直筆サインなんか貰ったら涙流して喜ぶわ!
お店用と娘の分の2枚、良いかしら!?』
「分かりました。
良いですよ!」
『まぁ、ありがとね。
じゃあ、この色紙にお願い。』
と言う訳で、2枚の色紙に俺達5人のサインと、XYZ&KYUと書き入れ、日付、それに1枚には、ゆしま食堂様へと書いて、もう1枚には、鎌田章子様へと書いて渡した。