CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
《3月1日(土曜)》
今日は、善雅(ソナ)《ミヤビ》の15才の誕生日。
プレゼントを持って、歩いて白金台駅に向かった。
9:14発 1番線 都営三田線(西高島平行)に乗り、2分後に白金高輪に着いた。
ここから東京メトロ南北線(浦和美園行)に乗り換えて6分後に出発。
約35分後に赤羽岩淵に到着した。
携帯の時計をみると10時ちょうどである。
約束の時間は10時半だから、間に合うだろう。
歩いて、彼女の家に向かった。
NS3ビルの横を川の方に向かって歩いて10分のところに彼女の家が在る。
いつ来ても思うけど、でっかい家だよなぁ。
ソナの父ちゃん、韓国の食材を輸入してるんだったよな。
韓日物産株式会社
在日韓国人では知らない人はいないって言う位でっかい。
その代表取締役がソナの父ちゃん
林 泰浩(イム テホ)
通称名が
ハヤシヤスヒロ
である。
ソナには俺と同い年の兄ちゃんがいて、次期社長を約束されている。
たしか、俺と同じ大学を受けたらしいけど、文∥の経済学部とか。
メチャクチャ頭が良くて、高校ではズッ~と主席だったらしい。
お袋さんには、まだ会った事が無いんだよなぁ。
長い間、仕事で韓国のソウルに滞在していたらしく、うちの家庭と逆だ。
韓日物産は韓国に支社が有って、お袋さんがそこの支社長。
韓国で仕入れを担当して、日本に様々な食材、食器、ついでにDVDや民族衣装、調味料なんかも取り扱っているとか!
ジャン(醤)なんかは、オリジナルの商品を作っている。
かなり遣り手のお袋さんだとソナが言ってた。
今日は、ソナの誕生日と言うことで、日本に帰って来てるから、今日は会える。
なんかちょっと怖いかも...。
《ピンポ~ン》
チャイムを鳴らすと、インターホーンから若い女性の声が..
『は~い。どちら様ですか?』
「高山寿生と申します。」
『はいはい。ソナお嬢様のお友達の!
どうぞ、中にお入り下さい。』
と言うと、
ガチャと音がして、自動で扉が開いていく。
凄いなぁー。
なんて思いながら中に入ると、ハングル庭園が……
庭ん中に滝や川が……
と、玄関からソナが飛び出して来て、
『チャンスオッパ、いらっしゃい!』
と言いながら抱き付いてきた。
…………