CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



「ヤバい!

こっちに来る。

早く行こうぜ。」


『そうね。

じゃあ、こっちに来て。』


と言って、俺達はビルの反対側に在るカゼボにやって来た。


『ハングル語で話していたから、全然分からなかったわ。

何を話していたの?

いきなりキスしてたし。』


「実はな、‥‥‥。」


『エ~ッ!

そんな事があったの?

世の中、広いようで狭いって言うけど、ホントに驚きだわ。』


「こっちの方が驚いているさ!

まさか、テジュンのお袋さんが昔、アボジ(親父)のセフレって、シャレんなんないよ。」


『でも、口ではそんな事言ってたけど、本当のところは、チャンス君のお父さんしか分からないわよ。

わざと、そんな事言ったのかもしれないわよ。』


「だよな!

まぁ、とにかくこれで、俺はソナとの交際を許して貰えたから良かった。」


『でも、今日の事は知らない振りをしてた方が良いわよね?』


「あぁ、そうしてくれ。

テジュンにも内緒にな!」


『モチロンよ!

こんな話し、私は出来ないわ!』


「ありがとう。

俺も、知らない振りしてるわ。

テジュンのお袋さんから、ソナとの交際を許して貰えるまで。

じゃあ、俺は帰るから。

ミリちゃんも、早く昼飯食って、戻らないと、もう余り休み時間残って無いんじゃないかい!?」


『アラッ、あと10分しか無いわ。

じゃあ、気をつけてね!

アンニョン(バイバイ)!』


「アンニョン!」


しっかし、驚いた。


世の中って、不思議な事もあるもんだ。


これが縁(えにし)って言うもんなんだよなぁ。


とにかく、早く帰ろう。


あぁ、腹減った!




~♪~♪~♪~♪~

  《賢主》
ヒョンジュ(チャンスの父)



まさか、愛美(エミ)がテジュンのお袋さんとは!


心臓に悪いぜ!


しっかし、セフレは言い過ぎたかなぁ。


あの頃の俺は、真面目に愛美(エミ)と付き合っていたさ!


でも、英美(ヨンミ)ちゃんと出会った瞬間に見えちゃったんだよなぁ、ビジョンが。


スッゴい幸せそうな俺達のビジョンが。


運命なんだよ。


それが分かってからは、愛美(エミ)と居ても、英美(ヨンミ)ちゃんの事ばかりが頭から離れなくなっていたんだ。


今は、英美(ヨンミ)ちゃんが俺の命なんだ。

 
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