CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
『年齢は関係無いと思います。
私がする仕事は、お客様へのサービスですよね。
お客様の年齢が、自分より上とか下とか考えて行動する人なんて居ないですよ。』
「その通りですね!
あなたが、もしここで働く事になれば、あなたのスタッフになるのは、韓国人と在日韓国人ばかりになるけど、その事に対して問題は有りますか!?」
『全然問題ありませんです。
私も在日韓国人です。
本名は、李直幸(イ・チッケン)と言います。』
「どうして、履歴書に書いて無いのですか?」
『特に理由は無いのですが、書かない方が日本では仕事がしやすいって言うのは有りますから。』
案外、食わせ者だな!
「分かりました。
ここでは、レストラン経営が主体となった仕事に従事して貰うのですが、それとは別にショーの構成とか、接客、スタッフの指導にもあたって貰わなければなりません。
その点について問題は!?」
『特に有りません。
何でもやるつもりで、既に広告代理店も辞めてきています。
ここで採用されなければ、無職になるだけです。』
「ずいぶんと強気ですね!
自信満々って感じですよねぇ。」
『それだけの意気込みで、今日ここに来ました。
やるからには、いつでも真剣です。』
「分かりました。
それでは、合否は明日させていただきます。」
『ありがとうございました。』
彼が出ていき、もう一人の面接者が入ってきた。
「履歴書は持参してきましたか!?」
『ハイ。』
渡された履歴書を見ながら、先程と同じ質問をしていった。
名前は、小峰龍男である。
K大卒の24才かぁ。
彼も、先程の石田直幸同様頭が切れて、自信満々なタイプだ。
とりあえず、二人とも採用する事になるだろう。
まだ、使ってみないと分からないが、仕事はちゃんとこなしていきそうだ。
二人が帰った後、5人で検討した。
皆、俺と同じ事を感じたらしく、多少の心配は有るものの、使ってみないと分からないって言うのが本心だった。
翌日は、養成所で過ごしている練習生達を集めて、適性検査と面接を行なった。
料理が得意な子は、厨房をメインで働いてもらい、愛嬌の有る子は接客へ回ってもらう。