CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
1.Hard Rock
暇だ暇だと嘆いていた本堂さんも、今日はニコニコ顔じやん!
毎日満室状態とは、凄いな!
この俺達の、人気のおかげでって言ってたけど、いつまで続く事やら。
皆の為にも、アボジ(親父)の会社の為にも、もっと頑張らなくっちゃ!
ルーム4-Hに入ると、ジョージがケントの書いた譜面とにらめっこしていた。
「ジョージ、どうしたんだ!?
皆、もう聴いた?」
『未だなんだ。
ケントの作った譜面を見てから、ずっとあんな感じなんだ。』
「ケント、ジョージが悩むくらい、難しい曲作って来たんだな?」
『な訳無いじゃん!
初めて書いたのに。』
「ジョージ、どうしたんだよ!
弾いて聴かせてくれよ!」
『ちょっと無理かもしれないじょ!』
「どうして!?」
『32章節の中に、変調が8回ある曲って聴いた事無いじょ。』
俺は、ケントの作った譜面を見てみた。
そして、あることに気が付いた。
「ケント、マイナーコードとかは知ってるよな!」
『聞いた事は有る。』
「変調しなくても、例えば、この音はここに♭を付ければOKなんだよ。」
『なるほど、そっかぁ。
じゃあ、ここもこの音をこうして…。
出来た!
これで良いかい!?』
「飲み込みが早いね!
さすがT大生!」
『アッ、今バカにしただろ!?』
「してない、してない。
ホントに飲み込み早いよ!」
『じゃあジョージ、これで弾いて見てくれ。』
「わかったろ。
♪~♪~♪~!」
『もう一度頼むよ!』
「OK!」
~♪~♪~♪~!
ジョージが演奏するキーボードに併せて、俺はギターで伴奏を入れてみた。
それを聴いたテジュンが、その伴奏をベースで弾き始めた。
ケントは勿論、自分の作曲したものだから、ドラムを入れていったので、俺はギターで飾り付けていった。
『なかなか良い曲だにゃ!
ケント、ハードロックが好きになるよ!』
「本堂さんのシゴキのおかげで、メロディーラインだけでも、なんとなくセッション出来るようになったな!
もうちょい煮詰めていけば、なかり良い曲が完成しそうだなぁ。」
『もう一度やってみようぜ。
KYUは、ここに歌詞が有るから、良いところで入ってみてくれ!』
「分かりました。」