CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
《泰俊》テジュン
俺は、林泰俊(イム・テジュン)
在日韓国人
通称名は 林泰俊と書いて、はやしやすとし。
T大学の経済学部2年生だ。
入学して、すぐに友達が出来た。
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《入学当時》
同じ講義を受けて、たまたま隣に座った白井拳斗(シライケント)。
『炎』って言う、ヘビメタ雑誌を真剣に読み耽ってたので、
『こういった音楽好きなんだ!?』
って言うと、その質問には応えず、
「俺、中学からズッ~とドラム遣ってきたんだけど、大学でもバンド組んではじけたいんだよね。
一緒にバンドやんない!?」
って、人の話を聞けよ……
と思いながらも、
『俺、ベース出来るぜ。でもヘビメタは嫌だね!』
と返事を返した。
一瞬、寂しそうな顔をしたが
『どんなジャンルの音楽なら良い?』
「そうだなぁ…
メロコアかパンクなら。」
『よし、決まり!
バンドやろうぜ。
俺、白井拳斗、ケントって呼んでくれ。』
「OK!
俺は、林泰俊。
ヤスって呼んでくれたら良いから。」
『後は、ボーカル、ギター、キーボードの3人だな。』
「キーボード弾ける奴なら一人知ってるかも。
文Ⅲの1年に、高校ん時の知り合いがいるけど、
そいつ、小学校からピアノスクールに通ってたし、
高校ん時の音楽祭で、リッチーブラックモアの曲をクラシックにアレンジして独奏してた。
バンド組んでくれるかどうかは、分からないけど……
イッペン聞いてみるわ。」
『じゃあ、昼飯時にそいつに会いに行こうぜ!』
と言う事になり、
今は、12時。
教育学部で、そいつを探した。
彼は、学食に居るらしいと、教えてくれた。
T大の学食は、兎に角広い。
端からズッ~と見て廻り、漸く発見。
柱のかげで見えなかったのだ。
「森本~~!」
『オゥ、林。どったの?』
「どったのじゃなくて、お前を探してたんだよ。」
『おいらに何か用?』
「おまさぁ、ピアノ弾けたよなぁ!」
『あぁ。おいらのピアノは上手いよ~ん。で、どったの?』
「バンド組んでみないか?」
『良いよ~ん!』
って、何かメチャクチャ軽いノリだなぁ。いつも思ってたけど。
「紹介するわ。
彼は、白井拳斗。ドラム担当。
…………