CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
1.Recording
5月15日
土曜日 (晴れ)
最高の行楽日和だ。
こんな日は、ソナと二人でドライブして、美味しい料理を食べて‥‥‥‥。
『チャンス、何を黄昏ているんだ。』
「いやぁ、こんなに良い天気なんだから、彼女と二人でデートしたら楽しいだろうなぁーなんて思って…。」
『これから待ってる地獄からの、現実逃避だにゃ!』
「そう言えば、ミリとも久しくデートしてないなぁ…。」
『僕もデートしたいです。』
「とにかく、このレコーディングが終われば、時間も空くしとっとと終わらそうぜ!」
『だよなぁ。
出来れば、3日間以内に終わらせたい。』
「そろそろ本堂店長と西条店長が来るから、準備しようっか。
今日は支社長も来るらしいよ!」
『そうなんだ。』
「お~い!皆揃ってるか!?」
『本堂店長、西条店長おはようございます。
もう、いつでもOKです。』
「じゃあ、いってみようか。
まず1曲目は約束からいくぜ!」
『エッ!
約束は前回のデジタルマスターを使わないんですか!?』
「何を寝言言ってるんだ!?
あれをレコーディングしたのは去年だろう。
お前達は進化しているんだよ。
今の音を聴かさないでどうするよ!?
前にレコーディングした3曲も、勿論全部取り直して作るから。」
『……、分かりました。』
「じゃあ、森本君はグランドピアノで!」
『了解しました。』
「西条、デジタルマスターの準備は?」
『いつでもOKだぜ。』
そして始まった地獄のレコーディング。
途中、30分だけ食事休憩があり、後は3時間に1回10分間のブレイクタイムで、朝10時から深夜1時まで頑張って4曲の収録が終わった。
「お疲れ様でした。」
『お疲れ様!
明日も、朝10時から出来る様に、早めに来てチューニングしといてくれよ。
9時半には俺も西条も来てるから。』
「分かりました。
それでは、また明日に。」
『ハイ、ご苦労様。
皆早く寝ろよ。
おやすみ!』
「おやすみなさい。」
早く寝ろよって、まだ晩飯食って無いし。
何か、今日の本堂さん、やたらとKYUに厳しかったなぁ。
『KYU、喉は大丈夫か!?』
「どうにかダイジョブです。」
『また一段と実力あげたな!』