CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
ケント、こいつが森本譲次(モリモトジョウジ)。キーボード遣ってもらうから。」

『よろしくねー。

おいらの事は、ジョウジって呼んでちょ。』

「後は、ギターとボーカルの2人だな。」

『なんか、一気に集まりそうだなぁ。』
「ところで、ジョウジ。
何も聞かないで、良くOKしてくれたな?」

『だって、勉強つまんないじゃん。
折角さぁ、大学入ったんだから、おもろい事しないと…だしょ!?』

「じゃあ、今からスタジオ行ってなんか遣ってみる?」

『良いねぇ。
おいら、飯食ったから午後からの講義はパスしちゃうよ~ん。』

と、あっという間に話は盛り上がって、T大からすぐのところにある

[N.S.スタジオ]

と言う貸しスタジオに行く事になった。

「俺、大学のすぐ近くで独り暮らししてるから、俺ん家寄ってベース取って来るから!」


大学を出て、本郷通りを左に曲がり453号線を東へ歩いて3分くらいで俺の住んでいるマンションに着いた。

『へぇ、良いとこ住んでんじゃん!

やっぱ、親は社長さんか何かしてんの?』

「一応、貿易の会社遣ってる。
アッ、ケント!
ジョウジの親っさんは、高級呉服屋の社長さんなんだ。
こいつ、家では若旦那って呼ばれてんだぜ。」

『へぇ、そんなふうには見えんな!』


『ケントん家の親は、何遣ってんの~?』

『俺の親父は、コック遣ってる。
フランス料理のコック長。
親父の作るデミグラスソースは最高だ。』

なんてことを話ながら、貸しスタジオに向かって歩いて行った。



*********

《長寿》チャンス


俺は今、親父の経営するスタジオに来ている。

新星ミュージックの
新星を取って

NEW STAR

を略して

N.S.スタジオだ。

大学の近くにも、新しく

N.S.スタジオ9号店(本郷スタジオ)

を作って、いつもそこで、暇つぶしをしている。


今親父は、自分が育てている韓国新人歌手の朴儒(パク・ユ)を日本に連れて来ている。

今度、日本でデビューさせる為だ。


彼は、俺の1こ年下。頭が良くて、飛び級で、この春高校を卒業したのだ。

親父が、向こうのライブハウスで見つけて、スカウトしたのが1年前。

本人も、メジャーデビューしたいと、両親を説得して親父の事務所に席を入れた。



…………





 
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