CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
エレベーターに乗るために、休憩室の中に入って行ったら、
『チャンス!?』
「オォ、テジュン!
久しぶり。
またバンド組んだんだ。」
『まぁな。
ギターとボーカルがまだ見つかってないけどな!』
「そうなんだ。
ここは、俺の親父が遣ってるスタジオだから、次からは安くするから、また利用してくれよな。」
『今でも十分安いさ。
そっちは?』
「俺の弟分の朴儒(パクユ)って言うんだ。
今度、日本で歌手デビューさせる為に、親父が韓国から連れて来たんだ。」
『●ァックユー?』
「●ァックユーじゃなくてパク・ユ。」
『じゃあ、ユー君って呼んで良い?』
「ハジメマシテ。
パクユト、言イマス。ユー君ッテ呼ンデクレルノウレシイデス。」
『スッゲー。日本語ペラペラじゃん!』
「彼は、日本語を勉強してから日本に連れて来たんだ。
英語も喋れるぜ。」
『すごい、すごい。
俺なんか、英語とフランス語と中国語話せるよ~ん!』
「彼は!?」
『彼は、森本譲次。キーボードだよ。
こっちのアッシュグレイの髪の彼は、白井拳斗。ドラム担当。』
「はじめまして。
俺は、チャンスって呼んでくれ。
ここのスタジオのオーナーの息子。
T大の教育学部1年に行ってる。」
『俺達も、全員T大なんだ。
チャンスは、俺とおんなじ在日韓国人なんだ。言って無かったけど、俺の本名は、イム・テジュン!
チャンスは、俺の15才の妹に手を出した彼氏。それも、14才の時に。』
「オイオイ、手を出したって言うけど、まだ何もして無いぜ。」
『へ…?
まだやって無かったんだ!』
「当たり前だろ。
俺は、ソナを大事に思って付き合ってるの!」
『14才かぁ…。
犯罪一歩手前って感じだねぇ~~!
うらやまし~い。』
「そろそろ練習しないと、時間制だから勿体無いぜ。」
『オゥ、良かったら見てくれよ。俺達の実力を。』
と言う訳で、ユー君と俺は、5人で2階のルームに入った。
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♪~~!♪~~!
それぞれチューニングが終わり、初めて同士なので、試しに何か合わそうと、曲を言い合うが、ナカナカ決まんない。
これこそ時間の無駄使いだ。
俺が、
「エアロスミス何かどうかな?
I Don't Wanna Miss A Thing
なら皆知ってるんじゃないかなぁ。」