CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 
 
この曲は、スローテンポだが、ベースとキーボードは特に難しい作りになっている。

ドラムも激しく叩くロックと違い、ボーカルの邪魔にならないように、なおかつ正確なアクセントをキッチリ入れていく、まるで、ジャズの世界だ。

ギターは、ハンマリング、プリング、スライド、アーミングなど基本的なものを、非常に高いレベルで駆使して弾かなければいけない。

さすが、MR.ハンのアレンジと言いたいが、演奏者泣かせである。

もちろん、ボーカルは、1つ、1つの音を把握したうえで、自分の声と融合して行かなければいけないので、大変だろう。
「じゃあ、30分ほど自主練習よろしく.」
3人『OK!』

「ユー君、日本語の歌詞入ってる?」

『ダイタイダイジョブ。
スコシレンシュウシマス。』

「そろそろいけそうか?」

3人『併そうぜ』

「じゃあ、ユー君、日本語バージョンで
MY LOVE(ナエ サラン)いくよ!?」

『ダイジョブデス』
その後、全員で併せた結果、どうしても、もとヘビメタドラムケントが前に出過ぎて仕舞う。

仕方がないので、1階の受付に行ってロッドを借りてきた。
ロッドは、ブラシとスティックの中間的なニュアンスを持つユニークなスティックだ。

スティックよりは軽い音だが、ワイヤーブラシよりはしっかりした音を出してくれる。

ケントにロッドを渡して、もう一度併せたら、なかなかシックリきたので、この曲にはロッドを使って韓国バージョンもやって見ることに.。
「ユー君、ナエ サラン、ハングルバージョンいくよ。」

『♪~~!』

『なんか、ハングルバージョン意味分かんないけど……この曲好きになりそうだよ~ん。

ウルチマラってどういう意味?』

「泣かないで、って言う意味だよ。」

『ヌンムルは?』

「涙って言う意味。」

『そっかぁ。悲しいラブソングなんだけど、日本語バージョンと少し歌詞違うの!?』

「鋭いな。そうなんだ。日本ではストレートな愛が好まれるからね。

韓国では、紆余曲折あって、障害を乗り越えた愛の唄がヒットしやすいので、

作詞の段階でちょっと俺が手を加えたら若いスタッフ達が、こっちの歌詞の方が良いねって言ってくれたから、親父に見せたら採用されたんだ。」

『へぇ、チャンスは作詞もやるんだ。

それもハングル語で出来るとは凄いなぁー。』
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