CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 



それから朝食の後、シャワー浴びて、頭をスッキリさせた。


GパンとTシャツ、それから黒い薄手のジャケットを羽織って、ソナのお袋さんの実家に向かった。


タクシーで明洞まで行き、明洞聖堂の裏手に伸びている道へと入って行った。


それから5分程タクシーで行くと、大きな屋敷が見えてきた。


その屋敷の前でタクシーを降りて、ゲート横に有るインターホンを押した。


『ヌグ シムニカ!?(どちら様ですか!?)』


「チョヌン チャンスラゴ ハムニダマン イムソナシ ケシムニカ?(私はチャンスと申しますが林ミヤビさんはいらっしゃいますか?)」


『ネェ~! チャンカンマン キダリョ チュシプシオ。(ハ~イ! 少々お待ち下さい。)』


しばらくすると、玄関の扉が開き、ソナがやって来た。


『チャンスオッパ!』


と言いながら、ニコニコ笑顔で駆け寄ってきた。


白のレースの様なヒラヒラしたミニスカートに、黒のニーハイソックス、淡いピンクのキャミソールの上に薄手のカーディガンを羽織っている。


8cmくらい有るヒールのサンダルを履いて、柔らかくて胸元まで伸びた黒髪が、フワッと揺れている。


「ソナ!

お待たせ!」


『どうぞ。』


と言って、門扉を開けて、俺の手を引っ張って中に招き入れてくれる。


リビングには、ソナの両親がくつろいでいた。


俺は、最敬礼のお辞儀をして挨拶をした。


どうぞ座りなさいって言う叔父様の言葉を聞いてから、向かい側のソファーに軽く腰掛けた。


「叔父様、昨日は有り難うございました。

叔母様も、お心遣いに感謝します。」


『そんな堅苦しい話は良いから!

今日はソナとデートなんだろう!

ゆっくり楽しんで来なさい。

私も家内も、もう少ししたら、会社の方に行かなければいけないし、今日は遅くまでかかりそうだから、夕食は二人で食べて来ればいいよ。』


「分かりました。

それでは、行って来ます。」


『アッパ(パパ)、今日チャンスオッパん所に泊まっても良いでしょう!?』


『ソナ!

それはダメだって言ったじゃないか!』


『だって、私達はもう婚約してるんだよ。

たまにしか会えない時だって有ったし、久しぶりに時間が有るのに…。

ずっと一緒に居たいのに……。』





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