CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
もし、全国大会まで行って、優勝でもしたら、彼の宣伝にもなるから、本腰を入れて、花道を飾ってあげたいと思ってるんだ。
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《バンドカ-ニバル》
俺達のバンドXYZは、関東大会で優勝した。
東日本大会でも優勝した時には、マジで全国を狙えるんじゃないかと、正直燃えた。
しかし、全国大会の2日前になって、ユー君の具合が今一つ良くない。
「夏風邪か?」
『ナンカ ソウミタイデス。』
「病院に行こう!」
『ハイ。』
と言う訳で、俺は、誕生日に親父が買ってくれた愛車の●ルファードにユー君を乗せて、実家近くの佐野内科に向かった。
ここの院長先生は、オモニ(お袋)の同級生の親父さんで、息子も一緒に親子でやっている。
以前は、小さな町医者だったが、息子が医大を卒業して5年目くらいに大改築を行い、今は立派な設備も備わった大病院になっている。
心遣いのあったかい、患者想いの病院である。
ようやく佐野内科に着いた。
駐車場に車を停めて、院内に…
受付カウンターで
『どうされましたか?』
「彼なんですが、夏風邪をひいたみたいで…」
『わかりました。
こちらに記入して、名前が呼ばれるまでお待ち下さい。
こちらの体温計で、熱を計ってくださいね。』
しばらくして、名前が呼ばれ、ユー君は診察室に入って行った。
やはり風邪をひき始めていたらしく、扁桃腺が少し炎症を起こしていた。
点滴を打って貰って、薬局でベンツペラルスを12カプセルと、イソジンを貰って帰って来た。
「今日は、ゆっくり休んで、明日も調子が悪かったら、バンドカーニバルは諦めてな!」
『嫌デス。
絶対ニ直シテ見セマスカラ。』
「わかった。わかった。
じゃあ、加湿器のスイッチ入れておくから。タンクの水ん中に、ミントエキス入れといたから、喉も楽になると思うよ。
ちゃんと薬飲んで寝るんだぞ。
ウガイも忘れないようにな!」
『ハイ。分カリマシタ。』
…………
翌朝、実家に顔を出して、ユー君の様子を見てみたら、声がだいぶ良くなっていた。
熱はないな!
安心したが一応ユー君にはクギをさしておいてから、学校に向かった。
…………