CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
このバンドはやっぱ凄かった。
全員が高校の吹奏楽部で、ボーカルでリーダーの滝川誠は、クラリネットをやっているそうだ。
リードギターは、トロンボーンだし、
サイドギターはホルン、
キーボードはフルート、
ドラムは勿論パーカッション、
ベースはバリトンサックス、
その上このバンドにはブラスとして、
トランペットとアルトサックスが入って計8人構成なのだ。
最初、バンド名を聞いた時は、コミックバンドかと思ったが
いざ彼等の演奏を聴いたら、米●クラブみたいで、実力もかなりのスキルだ。
パフォーマンスも歌唱力もセミプロ並である。
彼等は、賞金100万円と、プロデビューが待っている。
俺達は、ユー君の絶不調と始めての大きな大会でのプレッシャーで、実力を100%発揮出来なかったが、2位なら良しとしなければ……
3位のB5は、レディースバンドで、バンド名のBは、(バタフライ)のBだと後で知った。
それは……
俺達が会場を後にしようとホールから出たら、
入り口近くにB5のメンバーが集まって泣いていた。
すると、突然ケントが、
「彼女達!
残念だったね!
良かったら、これから俺達と打ち上げに行かないか?
このホールの裏にファミレスが在るから、おごるよ!」
『良いんですか!?』
「一緒に大会に出た仲じゃん!
まさか、関東大会、東日本大会で、ずっと2位だった君達と、決勝で一緒に競うとは思っても見なかったよ。」
『私達、全員高校3年生で、この大会で解散なんです。
全員でプロデビューが出来たらって思ってたんだけど……』
また泣き出してしまった。
「まぁ、とにかく何か食おうぜ。
ナンパじゃないからね!
親睦会だから!」
『じゃあ、ご一緒させていただきます。』
そして、やって来たファミレスで
「俺は、白井拳斗。ケントって呼んでくれ。ドラムスな!
で、このイカツイ顔をしたのが、林泰俊。
俺達はテジュンって呼んでる。ベーシスト。
こっちの軽いノリで喋ってるのは森本譲次。
ジョージって呼んであげると喜ぶよ。
彼はキーボード奏者。
ボーカルは、韓国からやって来たパクユ君。
今度、メジャーデビューするんだぜ。
今日は風邪ひいて扁桃腺炎が治ってないから、絶不調だったけど、彼は凄く歌が上手いぜ。