CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 


《林宅ふたたび》


皆を乗せて自宅にて降ろし、ユー君を俺の実家に降ろしてから、Uターンして赤羽岩淵に向かった。


車で行くのは始めてなので、テジュンにナビして貰う。


ようやく、知ってる道に出た。


やっとテジュン家に着いたのは1時間半後だった。


夜の7時過ぎ

家にお邪魔するには、少し気がひけた。


『チャンスあがっていけよ。』

「夕飯時だろ!
お邪魔じゃないかなぁ!?」

『構わねぇよ。
親父は、お前の事を気に入ってるんだから、ダイジョブ!』


「じゃあ、お邪魔します。」


『オッパ、会いたかったよ~~!』

と言って、両手を俺の腰に回してきつく抱きついてきた。

「ソナ、
なかなか会えなくてごめんな!」


『オイオイ、アニキの前で何やっているんだよ!』


と言って、リビングに入って行った。


俺もソナと一緒にリビングに向かった。

リビングに入ると、ソナの親父さんが書斎から出てきた。


『やぁ、チャンス君久しぶりだね。』


「ご無沙汰してます。お元気でしたか!?」

『まぁ、酒の飲み過ぎで朝は辛いが、元気に過ごしてるよ。

今日は残念だったね。

今テジュンから聞いたけど、2位だったんだって。』

「はい。頑張ったのですが力及ばずでした。」

『今日はうちで晩御飯を食べていきなさい。

今、お手伝いさんにチャンス君の分も用意させているから。』
と、強く勧めるので、無下にも断れず一緒に食事する事になった。


「まだ伯母様は反対してらっしゃるのですか!?」


『あぁ。
ワシにもさっぱり理由が分からんよ。

まだまだ時間は有るから、ゆっくり説得していきなさい。』
ダイニングの方に食事の準備が出来たとお手伝いさんが言いにやって来た。

皆で食卓を囲んで楽しい会話に花を咲かせていた。

テーブルの上には

アグチム(アンコウの炒め物)

ケジャン(カニの醤油漬け)

オイキムチ(胡瓜キムチ)

プゴク(干し鱈のスープ)

と、酒飲みが喜びそうなメニューが並んでいたが、ご飯と一緒に食べても旨かった。


『うちの娘はケラン(卵焼き)しか作れないから、お手伝いさんに教えて貰えって言ってるんだけど、全くやる気が無くて困るよ。

こんな娘だが、いずれこの子が、大学を卒業したら、お嫁に貰って欲しい。』



…………




 
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