CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
社長室の扉を開けて中に入ると、
「な、な、なんじゃこりゃ?」
『何を驚いてるんだチャンス?』
「何を驚くって、当たり前だろ!」
『言ってる意味が良く分かんないんだけどなぁー、パパは!』
「何がパパだよ!アボジ、すぐに外せよ。」
『嫌だね。これ気に入ってるんだから。それに、けっこう高かったんだよなぁ。フレームだけで10万円近くするんだぞ。夜はバックライトが着いて、浮き上がって見えるんだぜ。』
「そんなの知るかよ。
これって、先月俺とソラのクリスマスライブん時の写真だろ。
何でここに有んの?こんなバカデカク引き延ばしたりして。
だから皆、俺の顔を知っていたんだ。」
『ピンポ~ン!ヨンミちゃんから、お前が高校生活で最後のライブをクリスマスの日にやるって聞いてな。
ハヌルちゃんも一緒に歌うって聞いたから。
あの日のライブん時に、お前の彼女の善雅(ソナ)ちゃんも来てただろ?
彼女に、チャンスとハヌルちゃんの2ショット写真を頼んでたんだ。』
「……
何勝手に人の彼女に連絡取ってんだよ?
アボジはいつも…」
『怒らない、怒らない。
だって、チャンスもハヌルちゃんも、全然お父さんに連絡くれないし。寂しいだろう?』
「とにかく、外してよな!
オフィスじゃなくてじいちゃん家に飾るか、他人の目に触れないとこにしてくれよな。」
『実家にも、これと同じのが有るぜ。』
「な、何?パボアボジ(バカオヤジ)何考えてるんだよ。
無駄使いもいい加減にしろよな。」
『パパに向かってパボとはなんだ!?』
「それから、いい加減にオモニ(お袋)の事、ヨンミちゃんって呼ぶのも止めろよな。オモニもうすぐ40才だぜ!」
『何歳になってもヨンミちゃんは可愛い俺の奥さんだもんね。何て呼ぼうとお父さんの勝手だろ。』
「そんなに可愛い奥さんなら、何で何ヶ月も帰って来ないんだよ?
1年の半分近くは韓国じゃんか。オモニも寂しがってるんじゃないのかよ?」
『ダイジョブ!
毎晩ウェブカムチャットもしてるし、久しぶりに日本に帰ってヨンミちゃんと会うと、いつもより新鮮な気持ちになって燃えちゃうんだよねぇ!』
「両親の、そんな話し聞きたくないし、そんな話し聞く為に韓国まで来たんじゃないから。」