CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
「今日のイベントライブは、夏をイメージした曲をって言ってたけど、良い曲かけました?」
『あぁ、いつもは恋愛の曲を作ってたけど、今回は季節感を出さなきゃいけないから苦労したよ。
今回も西川君に詩を書いてもらって、俺が曲を付けたんだけど、1週間かかってしまったぜ。』
「やっぱり60年代のロックンロールサウンドできめたんですか?」
『いいや、今回はフュージョンの高中さんの曲をイメージしたんだ!』
「なんか楽しみになって来ましたよ。」
『チャンスの方は、どんな感じ!?』
「今回はパンクロックで夏をイメージして作りました。
Targetって言うタイトルなんですが、男が、海で逆ナンされてから始まる恋が季節と共に愛情に変わるか、幻で終わるかを別の角度から見ているもう一人の自分がハラハラしながら見ているって言う歌なんですよ。
そして結局彼は、彼女の一夏のラヴゲームのターゲットにされたと気付いた時には賑やかだったあのビーチには自分一人しかいなかったって言う感じかな!」
『相変わらず、面白そうな曲作るねぇ。』
「これ、実は友人のお父さんの実体験を元に書いたんですよ。
ちょっと切ない夏の思い出を、明るく歌い飛ばそうと思って書いてみたんです。」
『チャンスは、なんでも身の回りの事を曲にしてしまえるんだな。
俺なんか、ラブソングを想像で書いているから、メチャクチャ大変だよ。』
「あれ~!?最近、彼女さんと同棲を始めたってブログに書いてなかったですか!?」
『それは…つい最近の話だから。今まで書いた曲の時には…そのぉ…まぁ、居なかった訳だし…』
「なんか、信也さんの違う一面を見ている気がします。」
『本当の俺は、結構シャイなんだから。』
「そうなんですか!?いつも自信満々で、何事にもぶつかって行くから、恋愛も俺が幸せにしてやるから着いてこいって言う感じかと思ってましたよ。」
『そりゃ無理だ。
どちらかと言えば、彼女に尻を叩いてもらって頑張れるタイプなんだから。』
などと話をしていたら俺達のリハーサルの順番が回って来たので、ステージに上がった。
今回の演目は
1. Target
2. Infection
3. 約束
=Promise=
4. Scrifised
の4曲だが、シン(天道君)が練習不足なのが気がかりである。
そして……