CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
彼女の猫の目の様に、ちょっとつりあがった瞳に見つめられると,心臓がキュ~ンとなって仕舞う。
ショートカットでボーイッシュな感じがまた良いのだ。
俺は、バンドカーニバルが終わった時に、会場の外で泣いている彼女達を見た時に、いつの間にか声をかけていた。
親睦会と称し、どうにかこうにか皆でファミレスに行き、名前を知り、携番やメアドを交換することに成功した。
メチャクチャ嬉しかったよ~!
それからと言うもの、毎日メールしたんだけど、今時の女子高生と違い殆ど絵文字を使わない。
真面目な感じが伝わって来る文面、かなり好感がもてる。
ライブハウスでのイベントライブに出ることになった時は,かなりテンションの高いメールが届いた。
文面の最後に、
『8月6日のライブはお互い頑張りましょうね(ハートマーク)』
って絵文字なのに…ハートマークって言うのが、凄く嬉しくてメチャクチャ舞い上がっていた。
ライブの帰りにB5のメンバー全員を乗せて家まで送ってあげたが,4人を先に送って,最後にヒカルちゃん家に向かった。
彼女の家の近くで車を停車して、その時に思い切って告白してみた。
「ヒカルちゃん、俺さ…初めてバンドカーニバルで会った時からヒカルちゃんの事が好きになったんだ!
ヒカルちゃんの気持ちがどうなのか分からないけど、好きで好きでたまらないんだ!
返事は今すぐで無くても良いから。
俺の気持ちを伝えたかっただけだから。」
『…あ・・有り難うございます。
私の事、そんなに思ってくれて…返事、今でも良いですか?』
エ~ェッ!?もしかして、ゴメンナサイって言うパターン!?
「そんなに急いで返事しなくっても良いよ。
ジックリ考えてからでも…」
『でも…今すぐ返事したいから…』
ヤッベ~!こりゃマジで振られてしまうって!
負のベクトルが俺の心臓を目掛けてるよ。
でも仕方ないかぁ。
俺って何時も一言多いし、唐突にしゃべりだすし…
今までだってそうだったんだよなぁ…
結局振られるんだったら早い方が良いや!
「じゃあ、今聞かせて。」
と言って、俺はうつ向いて覚悟を決めた。
『私も初めて会った時からケントさんの事が好きでした。
私の方からお願いします。
私と付き合って下さい。』
って、ほらね!振られた…
ってエ~ェッ!?
「マジで~!」
……