CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
フ…
ファーストキス!?
そういえば、ヒーチャンって何時も俺にくっついて遊んでたっけ!
ある日、幼稚園が終わってもずっと一緒に遊んでいて、ブランコに乗りたいって言うから、一緒にブランコに乗ってそこで俺、ヒーチャンにチューしたんだ。
って、こんな車内の狭い空間で、この話題はヤバイっしょ。
変に意識しちゃったよ。
あぁ、キスしてぇ~!
『覚えてますか?』
「うん…、一緒にブランコに乗って、その時チューしたんだよね!」
『あの頃から、ずっと私の心は魔法にかかったんだから。』
「そんな大袈裟な!」
『ホントです。
だから、ずっと好きでした。
私の方からお願いします。付き合って下さいね。』
「良かったぁ。
俺、てっきり振られるかと思っていたから、余計に嬉しいよ。
これからもヨロシクな!」
『ハイ。
こちらこそヨロシクです。』
と言って、ヒカルちゃんは抱きついてきて、俺の頬っぺたにチュッてしてきた。
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帰宅したら、お父さんとお母さんは既に家に戻ってた。
『ただいま!』
「オゥ、ケントお帰り。遅かったな!
今日のイベントライブはどうだった?」
『大成功だったよ。
知り合いのバンドのメンバーを送ってあげてたから遅くなってしまったんだ。』
「そっかぁ。
まぁ、免許取りたてなんだから、運転には気をつけてな!」
『はい。
ところで、何やってるの!?』
「今建設中の俺達の店の内装と設備を検討していたんだよ。」
『やっぱりオープンカウンターのキッチンにするの?』
「その方が、常にお客様に接してられるし、ゴマカシもきかないし、店を清潔に保てるんだ。
厨房の中がお客様に見えるって事は、それだけちゃんとしてないといけないからな。
お前もそろそろ本格的に料理の勉強しないか!?」
『お父さん、ゴメン。大学卒業するまで待ってくれないかな。
卒業したら、真剣に努力して、一緒にレストランをやって行くから。
それまでは、今のバンドの方を精一杯やっていたいんだ。』
「そっかぁ。分かった。
卒業したら、一度フランスに料理の勉強しに行って欲しい。
本場のフランス料理を知って貰う為に。」
『そうするよ。
小さい頃から、お父さんやお母さんの料理を食べて育ったんだから。
任せといて。』