CHANCE 1 (前編) =YOUTH=
まぁ、確かに知らない人が見たら、そう見えるのかもしれないが…
しかし、何かこの状態が面白くなった。
以前にも新入社員が、来社した俺を暴走族かチンピラと勘違いして絡んで来たっけ。
『勝手な事されると困ります。
お引き取りならないのなら、通報しますよ。』
「あんた、何言ってるの?
俺はここの社長さんに用事が有るだけだから。
用事が済んだら直ぐに帰ってやるから、ギャアギャアわめくなよ。」
もう!こんな時に先輩は食事休憩から帰って来ないし…
メチャクチャデカイし、見た目もヤバそうな恰好しているし、何しに来たか分かんないけど、普通の人じゃ無いみたい。
強請?タカリ?
とにかく、社長に会わす訳にはいかないわ…
『お引き取り下さい。
お引き取りならないのでしたら、通報しますよ。』
「あんた、さっきからそればっかじゃん。
守衛でも何でも呼べば良いじゃん。」
なんか気の強い女だな。
『とにかく、お引き取り下さい……』
って言ってる時に…
良かった…守衛主任の長谷さんが来てくれたよ~!
これで、こいつを放り出してくれるわ!
「やぁ、長谷さん!」
『テジュン坊ちゃん、またですか!?』
「こいつ、俺の事を知らないから面白くて、ついふざけちゃった!」
『ふざけないで下さい。
あんたが最初に名乗らないのがいけないんじゃないですかぁ!
どう見たって不審者にしか見えないんですけど!!!』
「うっせぇんだよ。
ギャアギャアわめいて、一体研修中に何を教わったんだよ。」
『…』
「何も言い返せ無いみたいだな!
一体どこの大学卒業したんだ!?」
『大卒じゃなくて悪い!?』
「じゃあ、今年19才かぁ…俺とタメじゃん。
俺はてっきり大卒かと思っちゃった。
えらい老け顔!」
『うるさいわね!
私の顔なんて関係無いじゃん。
、T大か何か知んないけどさ、そんな恰好して、勉強しないで遊びまくってる只のボンボンじゃん。』
「そんな事は、T大に入れねぇヒガミっしょ!」
『まあまあ、二人とも!
辻本君、君はちょっと礼節と、落ち着いて行動する事に気をつけないと、これから先、又同じ事を繰り返すよ。』
「は~い。」
『テジュン坊ちゃん、貴方は将来この会社の三代目になるお方なんですから、慎んだ行動を!』
「長谷さんにはかなわないです。」