CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=
 ==《泰俊》==

うちの親父の会社は、日曜・祭日、8月の13~15日のお盆、12月31日~1月6日が休みになっている。

ボーナスは8月12日のお盆休み前日と、12月30日の正月休みの前日との年2回有るんだ。

昇降格は、年度変わりに行われる。

あれから俺達は携番とメアドを交換して、度々連絡する仲になっていったんだ。

今日は8月13日。お盆の法事が午前中に終わり、昼から俺はボケ~っと部屋でたそがれていた。

チャンスは韓国へKYUと一緒に明日から撮影に行ってしまうから準備に忙しいらしい。

ケントは、ほかのバンドのヘルプで急きょ神奈川の友人のところへ泊まり込みで1週間ほど帰って来ないし…

ジョージは、最近実家の呉服屋を無理矢理手伝わされているんだとぼやいていたし…
なんか暇だなぁ…

そんな時だった。

携帯にLINEが入ってきた。

『テジュン君、今ヒマかなぁ?』

と簡素な内容だった。

「ヒマだ。死ぬほどヒマだ!」

と送り返してみた。

『法事終わった?』

「朝一で終わって、あまりにもヒマだから、たそがれていた。」

『遊びに行かない!?

ボーナスをね、驚くほど沢山貰ったから、オンマ(ママ)に全部あげたんだ。
そしたら、お小遣いって言って、オンマが少し返してくれたんだ。』

「ミリさんはエライなぁー!
さすが一家の大黒柱だね。」

『エヘヘ! それでさ、私この夏何処にもお出掛けしてないし、遊びにも行って無いから、今からどっか行きたいの!』

話を聞いてみたら、辻本美里ことミリさんは、初めて手にしたボーナスに手が震えてしまったとか!

そりゃ金額聞いて俺も驚いたさ!

彼女の話によると、
給料は1ヶ月20万円で、手取り18万円ちょっとだそうだ。

働き始めてまだ5ヶ月しか経っていないのに、ボーナスが60万円で、手取り55万円近く合ったそうだ。

親父、やり過ぎだよ。

まぁ、そんなこんなで、彼女の小遣いとして5万円が有るから、お買い物に行きたいから付き合ってって言うのだ。

俺も、久しぶりに買い物します。

バイク用品とベース関連のしか久しく買いに出ていない。

メールのやり取りを終えて、俺は着替えて家を出た。

今日は車の方が良いよな。買い物の荷物を持ってバイクはキツいから。

俺、間違いなく彼女に惚れちゃったようだ。誘われてウキウキしちゃってるよ!




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