CHANCE 1 (前編)  =YOUTH=


『これよこれ!
やっぱこっちのも可愛い。』


「それでは、間違いなくお届けいたしました。
また宜しくお願いします。
それでは、失礼します。」


『エェ~ッ!?もう帰っちゃうの~!?

パパもママも仕事だし、お兄ちゃんは旅行でヨーロッパの方に行ったまんまだし、私一人じゃ退屈で死にそうよ!』


「それじゃあ、ドライブにでも行きますか!?」

って、おいらは一体全体何を言ってるんだい!?

思わず言ってしまったけど、まだ会って2回目だというのに、とんでもない事言っちまったよ~ん!


すると彼女が、

『ホントに!?
本当にドライブに誘ってくれるの?

嬉しい!じゃあ、早く行きましょう!

すぐに支度するから車で待っててくれるかなぁ!?』


と言う彼女の言葉をぼぉ~っと聞きながら、首をカクカクと縦に振って、おいらは車に戻った。


車内のバックミラーで自分の顔を見たら、なんとも締まりの無い顔を映し出していた。


まだ自分で自分が信じられない。


良くあんなことが言えたなぁ~!


でも、彼女ホントに降りて来るのかにぁ~!?


って考えていたら、玄関の扉が開き、彼女が出てきた。


『お待たせ! 何処行く!?』


「何処か行きたい所は在りますか?」


『う~ん・・・・・●クド!』


「エェッ?  そんなとこで良いの?」


『だって、一度も行った事が無いもん。』


「良いよ!  連れて行ってあげるよ~ん!」


『何か喋り方が違うね!  さっきまで堅苦しい喋り方してたのに。

こっちのほうが良いわ。  同い年なんだもんね。』


「つい出ちゃった。  普段はこんな喋り方なんだよ~ん!」


『そうなんだ!
森本さんって面白い人なんだね。』


「おいら、森本ジョージって言うんだ。
これから、ジョージって呼んでくれたら嬉しいな~!」


『良いよ!
その代わり、私のことはナナって呼んでね。』


車を走らせて10数分後、おいら達は●クドに着いた。


ドライブスルーでは無く、店内に入り注文していく。


カウンター内のスタッフは、慣れた手つきで素早く注文の品をトレイにのせていく。


ナナちゃんは初めて見る光景を目を丸くしながらもワクワクして眺めていた。


「じゃあ、あそこの席で食べようか!」

とトレイを持って一番奥のテーブルへ向かった。
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