偽り
「珍しいな。いつもとは違うのだな。やはり九尾に合ったからか。」
仁が識の方を見て
「……正直、この俺じゃ勝てる気がしないね。」
識が横になって寝ている香代を見て
「まだマシだろう。コイツみたいに気絶しないだけでも、でどうやってごまかす??」

「まぁ~、上手くごまかすよ。それに、相手は三大妖怪の奴だしな。で、香代の状態は??」

「医学的には問題ないが、覚醒が近いのか気が少し多いし乱れているな。これでは、結界がいつまでもつか。」

「狐爪家の一つ上の世代が全員で封印しているのにか。めんどくさい奴。」
識が、悲しい目を向ける。
「お前も大変だな。」

「当主補佐に就いている識さんに言われても」

「そう意味じゃないさ。ただあの親父とこの子の板挟みのことを言っているのだ。」
仁は少し考え席を立って
「……今は仕方ないさ。じゃ~、俺教室に戻るね~、バイ~。」

と香代に見せている性格に戻り部屋から出て行った。識はその後ろ姿を見つめてながら
(今はか。)
と、スッと息を吐いた。


数分後香代も目が覚めると、礼を行ってすぐに部屋から出て行った。
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