偽り

早朝
広く綺麗にされた庭に一人刀を持ち稽古をしている女の子がいた。
その女の子は長いストレートで綺麗な黒い髪、顔立ちもなかなかいや、かなりの美人の分類に入るだろう。
日本刀を垂直に振り抜く。
刀を鞘にしまい息を大きく吐く。
縁側からエプロンをつけた父親が
「香代。もうすぐご飯だよ。」
優しい口調
香代と呼ばれた女の子は
「はい、父さん。汗流してくるね。」
と言って、香代は刀を父親に渡しシャワーを浴びに行く。その後ろ姿を見て、大きくなったな、と感じるのはやはり親バカなのかもしれない。
香代がシャワーを浴びて制服に着替えて居間に行くと、父親と母親がいるはずだったが、いつもより人数が多かった。
香代と同じ学校の制服を着て髪は所々寝癖があるその男、香代が
「何してるの??」
その男は茶碗を持ちながら
「無論。朝食を頂いている。」
そう言うと茶碗に盛られていたご飯があっという間になくなる。
父親が
「いや～よく食べるね。作りがいがあるよ。ほら、早く香代も食べないと学校に遅刻するよ。」
優しい微笑みを向けながら、その男のご飯を盛る。