偽り

皆が黙りそれについて考える。
確かに、新たな当主が生まれてしまえば、香代の存在価値はなくなる。つまり、香代ごと信長を殺すことができる
しかし、人間の善意が同意を邪魔する。
だが、反対する理由もまたない。

沈黙が続く。柾木がまた口を開き
「皆さん。やはりこれは無理ですね。子供を産むのに時間がかかりすぎますし、ここで新たに提案なのですが、香代様のの細胞から遺伝子を取り出しクローンを作るのはどうですか???これなら時間もそんなにかかりませんし、なにしろ神憑きでない香代様ができます。」

皆の口から「おぉ」っと漏れ
この会議は2対7でこの案で進めることになった。


柾木が一人長い廊下を歩いていると
「何を企んでおる??」
とさっきの老人が後ろから問い詰める。
柾木はクルリと振り向き
「人聞きの悪い。何も企んでいませんよ。」
と笑顔で言う。
老人が
「気をつけるのだぞ。我らのお上を怒らすなよ。」
とその場を後にした。
柾木
（うるさいジジィだ。お上??九尾のことか??関係ないな。もう遅い。）
とニヤリとしながら老人とは逆の方向に歩いて言った。