偽り
夏も真っ盛りなったある日
深夜、イリアが街を誰にも気づかれないように飛び回っていた。
イリアが街に異変がないことを確認して仁の元に戻ろうとしたとき

イリアの目の前に突然何かが現れて
「アハハ……死んで…」
と言って、イリアに何か刺した。
イリアは口から血を出して自分の体に刺さっているものを見る。

それは人の腕だった。
イリアが目の前にいる者を見て
「…!!なぜ??あなたが??」

とそのまま気を失って、地面に落ちていく。


イリアを下受け止めてた仁が闇から現れて、
「……イリア??大丈夫か??……面倒だな。」
隣から東間が現れて、
「なんじゃい??いきなり、『闇渡』りして……ってイリア!!」

と驚き、
「イリア、そこのカスを噛め。」

イリアは意識がないまま、まるで本能に導かれるように、
「ちょっと待て!!これってヤバくないか??俺死んじゃう~」

と噛んだ。
イリアの血行が好くなるにつれて、東間が死にそうな顔になっていく。
仁が上にいるヤツに目を向ける。
「香代なのか??」
と問いただす。そいつの隣からニヤケながら柾木が現れた。
「ふん、あんな出来損ないと一緒にしないで欲しいな。仁君??」

時は動き出した。
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