偽り
その頃、仁が柾木の前に来て
「お前捕まえる。」
と言うと瞳孔が縦に割れる。
「ふふふ、さすがですね。この的確な指示、三号を足止めさせて、私を捕まえようと。」

「何しろ。お前たちは香代の封印で力をないからな。」

「確かに。」
と素直に認める。
(何か隠しているな。ちょっとカマかけてみるか。)
「狼牙拳『牙(キバ)』」
と巨大な牙が現れて、柾木を襲いかかる。

狼牙拳
本家に伝わる業の総称。奥義が継承こそが当主の資格になる。

柾木が
「まったく三号は何を遊んでいるのか。」
と言って牙を素直にくらう。
仁は軽く舌打ちする。
「お前禁忌を犯したな??」
(この気、魔界の信長に近いな。)
柾木が牙を
「禁忌??何のことかな??」

「惚けるな。貴様、悪魔契約をしたな??」

「ええ、おかげで力が漲ります。」

「グズが…」

「これほどの力がなぜいけないのですか??」

「世界のバランスを崩すからだ。そもそも悪魔は」

「私たちの魂を輪廻から外して、魂を消滅させる。」
と背中から悪魔の羽を出して空を飛ぶ。
「そこまで分かっていながら…」
東間の悲鳴が聞こえる
「おや、あっちは片づいたようですね。」

< 41 / 57 >

この作品をシェア

pagetop